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Slim Harpo / The Best Of Slim Harpo (1992)

slimharpo
前回のAlex Chiltonのエントリのついでと言っては何ですけれども。Slim Harpoの『The Best Of Slim Harpo』(1992)です。
旧ブログからの転載です。


ルイジアナ・ブルースの旗手、Slim Harpoの活動をざっくりと俯瞰することが出来る編集盤です。


1950年代後半から活躍する彼の楽曲の数々が、ロック・バンドを組み始めたばかりのイギリスの若者たちに大きな影響を与えることとなりました。
実際にThe KinksThe Yardbirdsが彼のデビュー曲、M2「Got Love If You Want It」を、The Rolling StonesはそのB面曲のM3「I'm A King Bee」をそれぞれカヴァーしたほどです。


緩やかさを通り越し、弛緩し切ったそのひなびた枯れ具合が独特な味わいを醸し出し、1961年にはその路線の極致とも言えるM9「Rainin' In My Heart」をヒットさせています。
1964年にはM10「Still Rainin' In My Heart」という表題で唐突に再録音までして、さらに回転数を落したかのような緩さ加減を披露しています。


軽妙な歌い口とハーモニカと共に臭い立つようなスワンプ臭も彼の大きな特徴なのですが、1960年代後半ともなると時代の要請のためか、しこたまファンキーなM6「Tee-Ni-Nee-Ni-Nu」で懐の深さを示しています。



その影響力の強さと大きさ。改めてSlim Harpoの偉大さに気付かされますね。のらりくらりとしたニューオーリンズR&Bにほだされるのも良し、幾多の後輩たちの音を追ってみるも良しといったところです。


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The Impressions / Keep On Pushing (1964)

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The Impressionsのアルバム、『Keep On Pushing』を聴いてみました。
全12曲がCurtis Mayfield作なんですね。恐ろしいほどの才能の開花ではないでしょうか。


路線としては前作の『The Impressions』(1963)を継承していまして、ゴスペル色を湛えた品の良いシカゴ・ソウルであります。しかしながら、その奥ゆかしさの裏には高い志を窺うことが出来るというものです。


折からの公民権運動に連なることになる表題曲、M1「Keep On Pushing」をはじめとし決して声高に主張することなく裏声を使ってあくまでも心優しく語りかけて来る訳です。Curtis Mayfieldにしても早くも歌い手として頂点へ登り詰めている感が強いと。
M2「I've Been Trying」などにおいても顕著ですけれども、聴き手を包み込むようなその懐の深さ、器の大きさは貴重ですね。


特に前半はゆったりとした曲調で統一されているので結果的に心地良い流れなのが印象的です。
後半ではマーチのM7「Amen」に甘口のM9「I Thank Heaven」、軽快なノーザン・ソウルのヒット曲の「Talking About My Baby」などが入り乱れていますので雑多な感触がなきにしもあらずとは言えThe Impressionsというグループとしてのまとまりの良さやその力量が発揮されていることを感じることが出来ます。


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Lee Dorsey / Yes We Can (1970)

yeswecan
Lee Dorseyの『Yes We Can』(1970)です。
ニューオーリンズのR&B、ファンクと言えば外すことの出来ないアルバムです。


大手のPolydor Recordsからの発売なんですよね。実際にどのくらい売れたのかどうかはともかく、指揮を執るのは旧知のAllen Toussaint、言わずと知れた大物ですね。M8「Games People PlayJoe South以外は全曲、そのAllen Toussaintが手掛けています。
そして、脇を固めるのはThe Metersの面々。これで悪かろうはずがないという代物ですよ。


改めて聴いてみまして思わず感心してしまいました。ホーンの音色も眩しいM3「Tear, Tears, And More Tears」のような華やかなものもあるんですが、アルバム全体としてはとても風通しの良い簡潔な作りにもかかわらずずっしりと重みがあるんですよね。ニューオーリンズらしい独特の臭みもそのままに余裕たっぷりの乗りも最高ではないですか。
Lee Dorseyの軽妙な歌い口も渋いです。これぞファンキーですよね。


シングル曲にして表題曲のM1「 Yes We Can, Part 1」につきまして、せっかくのM6「 Yes We Can, Part 2」が本作のB面頭に置かれているために活かされていないことは残念ですね。


それから、国内盤の紙ジャケット仕様CDには同時期の音源が追加収録されていることを初めて知りましたよ。それが今ではもう廃盤というのが惜しいですね、やはり。


The Famous Ward Singers / Surely God Is Able (1996)

famouswardsingers
The Famous Ward Singersの『Surely God Is Able』(1996)を聴いてみました。久しぶりのゴスペル、The Famous Davis Sistersの『The Famous Davis Sisters』(1966)以来のエントリです。


Surely God Is Able』というアルバムを基にして1940年代末から1950年代にSavoy Recordsに録音した24曲分を収録した編集盤です。
件のThe Famous Davis Sistersなどと同時にP-Vine Recordsが国内盤CD化を行った中の1枚です。


大御所、Mahalia Jacksonと並び称されるClara Wardを中心としたグループに変わりはないんですけれども、本盤の場合にはClara Ward & The Ward Singers名義ではないんですね。


純粋な信仰心が歌へと向かわせる姿は何よりも崇高ですね。力強い歌声が聴衆の心の奥底を揺さぶりさらに鼓舞するという、ある意味で特別な磁場が生み出されいる訳ですよ。ピアノ伴奏のみによる表題曲、「Surely God Is Able」をはじめ敬虔さと熾烈さが混ぜ合わさった尋常ではない状況ですね。
巧みなバック・コーラスと相俟ってあまりにも迫力のある歌唱を轟かせているだけありまして思わず痺れてしまいますよ。


そんなClara Wardに比肩するMarion Williamsの実力も圧倒的ですよね。もの凄い馬力の持ち主です。何という存在感でしょう。
また、M7「Packing Up」やM16「I Know It Was The Lord」などを聴いてみれば一目瞭然、元祖ロックンローラーのひとりでもあるLittle Richardに大きな影響を与えている訳ですよ。(←受け売りです)その張りのある高音の雄叫びはまさしく魂の叫びではないでしょうか。


名演揃いの本盤ではありますが、M12「Great Judgment Morning」だけが1962年録音だそうです。鈴木哲志氏による詳細な解説によればSavoy Records移籍前の音源を再演したものでその出来上がりは足元にも及ばないとのこと。
そんな極上の原曲を聴く術はなさそうですが、それでもこれ以上の高揚感はないですね。早急なリズムや絶妙な合いの手、熱い手拍子にも煽られることのない強靭な歌声は素晴らしいのひと言に尽きます。


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Mel & Tim / Good Guys Only Win In Movies (1969)

goodguysonlywininthemovies
Mel & Timというデュオの『Good Guys Only Win In Movies』(1969)というアルバムです。
この手のCDがSundazed Musicからの復刻というのも珍しいですよね。5曲が追加収録されています。


M6「Backfield In Motion」とM1「Good Guys Only Win In The Movies」のヒット曲を受けて発売されたのは本作ということで。ありがちなことですけれども2曲続けてヒットさせるというのは大変なことでしょう。
ちなみにM6「Backfield In Motion」の方はMel & Tim自身の共作なんです。これまた珍しいことですね。


Gene Chandlerに見い出された2人組だけありましてシカゴ・ソウルらしい軽快さが特徴なんですが、何かこう熱くたぎるものも充分に感じさせるところがありますのであとになってStax Records へと移籍て行くのも納得でしょうか。
アルバム収録曲よりも同時期録音のM12「Never On Time」やM15「Put An Extra Plus To Your Love」の方により熱気が充満していますね。


また、男気溢れるデュオならではの掛け合いや連係も当然のように聴きものですし、改めて感じるのは自作も含む収録曲がどれも粒ぞろいであることも強みということなんですね。
件の2曲のヒット以上に胸をときめかせてくれるのがM7「Caught You In The Act」なんですよ、思わぬ拾いものといった具合です。


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プロフィール

北沢オーストラリア

Author:北沢オーストラリア
ハンドルネームをchitlinから北沢オーストラリアへと改めました。どうか、よろしくお願いいたします。
ポップ・ソングのことを中心に書こうとして自家中毒を起こしているブログです。
見当違いのことばかりですけれども、どうかご容赦のほどを。

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