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Yo La Tengo / Yo La Tengo Is Murdering The Classics (2006)

YoLaTengoMurderingClassics
Yo La Tengoの企画盤、『Yo La Tengo Is Murdering The Classics』ですよ、と。
運営難に陥ったWFMUというラジオ局を救うべくリクエスト大会を開催、内容はカヴァー曲ばかりというその生演奏の数々をまとめた代物です。


意表を突かれるどころかあり得ない選曲ですよね。解釈としては勿論、Yo La Tengo流に料理してあるにせよファンキーなR&Bからパンク、ガール・ポップにプログレッシヴ・ロックと多岐に渡るこの有りさまは甚だしいこと極まりません。
さらりと尺を短くぶつ切りに。大雑把なところも細やかに凝ったところもありつつ、表題の通りに陵辱の限りを尽くしているではないですか。


M1「Tighten UpArchie Bell And The DrellsとM22「RoundaboutYesが同居していたりM9「Ding Dang / Interplanetary MusicThe Beach Boys / Sun Raというメドレーなんてどう考えても変態ですよ、どうかしています。
それでも、これもYo La Tengoなんだと言われればどうにか納得することも出来るんですが、この逸脱の仕方には肝を冷やしてしまう訳ですよ、やはり。


思わず嬉しいのがM10「Captain LouNRBQですね。アメリカ随一のバー・バンドを楽しくカヴァー。最高です。


そして、先祖帰りとも言えるM11「Oh! Sweet Nuthin'The Velvet UndergroundとM13「RoadrunnerThe Modern Loversなどのある意味で直球なカヴァーは本当に興味深いところですね。


もし仮にJimi Hendrixなんかにも挑戦してもらえますとさらに面白いことになりそうです。
無茶なリクエストを振るにしてもそれに応えるにしても真剣にふざけているのが支離滅裂ながら微笑ましいです。


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Yo La Tengo / Today Is The Day (2003)

todayistheday
Yo La Tengoの『Today Is The Day』(2003)というEPです。
前回の『Summer Sun』(2003)に収録されている「Today Is The Day」のヴァージョン違いが中心の6曲入りです。


ゆったりと静かなSummer Sun』収録版とは裏腹に轟音ギターにまみれたM1「Today Is The Day」には計らずも圧倒されてしまいます。無軌道とも思えなくもないギターのひしゃげた音が逆に気持ち良いですね。それにしても振り幅が大きいです。
続くM2「Styles Of The Times」もなかなかに激しい曲調なんですが歌自体はごくごく醒めたものだったりするのが面白いところです。


次のM3「Outsmartener」はYo La Tengoにしては異質な1曲ではないでしょうか。珍しく異国情緒が溢れ返る雰囲気に貫かれていまして、色鮮やかな響きが耳をつんざくんですよ。


さらに意外なのがM4「Needle Of Death」という極めてアコースティックな1曲でしょう。これがBert JanschのカヴァーだそうなんですがまったくYo La Tengoとは結びつきませんね。その接点がどうであれ、こういう場合にはGeorgia Hubleyよる素朴な歌声には訴求力があちますよね。
それにしても守備範囲が広いです。


最後のM6「Cherry Chapstick」、こちらも『And Then Nothing Turned Itself Inside Out』(2000)収録版とは打って変わってアコースティックな手触りが素敵なんです。何とも穏やかな感情の機微が表現されているように思えます。
それにしてもその豹変ぶりには驚かされます。


本盤が実はアウト・テイク集であるのかどうかなんてことを知らない訳なんですが、こういった臨時的なEPという形であっても一定の水準以上のことをいろいろと演ってきちんと世に出してくれるのは嬉しいことですよね。


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Yo La Tengo / Summer Sun (2003)

summersun
久しぶりにYo La Tengoを聴いています。今回は『Summer Sun』(2003)です。ジャケット写真が何とも言えないものですがそこはぐっと我慢です。


ゆらゆらと陽炎のようなM1「Beach Party Tonight」。意外な幕開けですがこの位置でしかあり得ないと言えば話が早いですね。
M3「Nothing But You And Me」は囁くような歌声にポップさの欠片すらない抑えに抑えた演奏は必要最小限の音数が効果的ですね。   
非常に落ち着いた調子で展開されて行きます。


一転して穏やかな表情を見せるM4「Season Of The Shark」はとても優しげで大人の余裕さえ感じさせるギターポップではないですか。決して派手ではありませんが好感度高し、です。この手の何気ない佳曲には否応なしに心惹かれてしまいますね。


シングル曲のM5「Today Is The Day」、水底をゆったり漂うような感覚を覚える気持ちの良い1曲。もはやサイケデリックでもないYo La Tengoならではの浮遊感が堪りません。
このアルバム、全体ではメロディーは概ねしっかりとしつつもそういう輪郭のぼやけた曖昧さやさざ波のような微かな息使いで貫かれていながら、さまざまに彩られています。轟音ギターを避けてゆっくりしたい時にはぴったりですね。


もの静かなM7「How To Make A Baby Elephant Float」とそれとは打って変わって奇天烈な音の羅列が特徴の「Georgia VS. Yo La Tengo」という妙なインストゥルメンタルまで聴き進めてみまして相当な異色作だと思わざるを得ませんね。
それが思いつきでもなさそうですし突拍子もない方向へ転がるでもなくもの凄く心地良い時間を作り出しているという事実がある訳ですよ。


アルバム全体としてはギターの音が唸りを上げる場面はほとんどなくて温かみのあるキーボードの音色が少しくすぐったいくらいですよ。この尋常ではない穏やかさが後追いでYo La Tengoを聴いて来た身にとっては穏やかな事態ではないんですよ。
毎回のように収録される10分以上に渡る大曲も今回はYo La Tengoの面々が緩やかに、そして思うままに動き回ります。フルートの音色が自由に宙を舞うこの混沌とした流れは気持ち良いですね。
そんなM12「Let's Be Still」の後に何とBig Starのカヴァー、M13「Take Care」にて締めくくられます。沁みますね、これ以上ないというほどに。


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Yo La Tengo / May I Sing With Me (1992)

mayising
今回のYo La Tengoは『May I Sing With Me』(1992)というアルバムです。何故だか今まで聴いたことがなかった1枚でして、ようやく手に入れました。今さらながらエントリの抜けを埋めてみます。


カヴァー曲の多い『Fakebook』(1990)と大好きな『Painful』(1993)に挟まれた本作、一聴して直球勝負のロックなアルバムだという印象を持ちました。
冒頭のM1「Detouring America With Horns」こそ健やかな1曲なんですが、あとは大体、激しさが前面に押し出された展開のようです。M5「Five-Cornered Drone (Crispy Duck)」にしてもM6「Some Kinda Fatigue」やM9「Out The Window」などに顕著な感情をぶちまけ叩き付けるような音に対してこんなグループでしたっけと首を傾げたり。


序盤のM3「Mushroom Cloud Of Hiss」なんかはタガが外れたようなハチャメチャな演奏が9分以上も続くという代物です。大荒れのフィードバック・ノイズ大会も含めて、その勢い任せの姿勢が少し辛く感じられることもあったりしますね。


本盤に限ってはどうやら歌心が足りていないように思えました。いずれにしても、どれもこれもYo La Tengoであることは事実なんですけれどもね。


サイケデリックな感覚が強いのは恒例になっているゆったりとした長尺曲のM9「Sleeping Pill」くらいなんですね。後光が差しているかのようなオルガンの音色やこの緩めにどこへともなくうねって行く様子はいつだってクセになります。
対照的にしめやかに締めくくられるM10「Satellite」の寂寥感もただごとじゃありませんね。


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Yo La Tengo / And Then Nothing Turned Itself Inside-Out (2000)

nothingturned
今回のYo La Tengoは『And Then Nothing Turned Itself Inside-Out』(2000)というアルバムです。
ジャケット写真がもの凄く好みです。嫌でも想像力を掻き立てられますよね。


のっけから落ち着いているというかとんでもなく地味というか非常におとなしい印象。徹底して抑制が効いているというか、いつも以上に派手さのない音作りなんです。これを20世紀最後の年に世に問うのはいかがなものかと思ったこともありましたが。
一聴していつものギターバンドらしさが出ているのはM9「Cherry Chapstick」くらいでオルガンやシンセサイザーの類いが多用されています。


彼らにとっては必ずしも実験的とも新機軸とも言い切ることが出来ないような、そんなところでしょうか。風変わりなのはいつものことでしょうし。
そういう意味では、ちょいと異色作なのかも知れませんね。だからと言って本作がハズレだとかとは思いませんしね。Yo La Tengoのこれが持ち味、です。変化には貪欲なんですね。


本作では打ち込みも効果的に使われていまして、自然と滋味深くて温かい音像とともに独特のグルーヴ感がもたらされるといった具合です。
じっくりと聴いていますと(実際にじっくりと聴かせる内容ですし)深い海の底かどこかを歩いているような気分になって来ますね。M12「Tired Hippo」なんてのは怪しさ満点です。


最後は恒例の長尺曲です。M13「Night Falls On Hoboken」という表題も良いですね。まさに本作のジャケット写真を想起させるような浮遊感たっぷりの不思議な佇まいを醸し出す決定打ですよ。じんわりと効き目を発揮する気の遠くなるような18分弱ですよ。


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プロフィール

北沢オーストラリア

Author:北沢オーストラリア
ハンドルネームをchitlinから北沢オーストラリアへと改めました。どうか、よろしくお願いいたします。
ポップ・ソングのことを中心に書こうとして自家中毒を起こしているブログです。
見当違いのことばかりですけれども、どうかご容赦のほどを。

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