
今月の
Stereolabは毎度お馴染みの編集盤シリーズより『
Refried Ectoplasm Switched On Volume 2』(1995)を。
これまでツアー先での限定販売シングルなどを何種類も発売したりと彼ら自身というか
Tim Ganeに蒐集癖があるようでして自分でも嬉々としてリリースを重ねている節があるんですね。そういった膨大なのに貴重な音源を含めて自らこうしてしっかりとまとめてくれるのは凄くありがたいことですよね。
ここまではジャケット・デザインにも統一感があります。
当然、内容に統一感はありません。ハンマー・ビートや古めかしいアナログ・シンセサイザーの音色は共通しますけれど。
大体がアイディア1発勝負の楽曲がほとんどかも知れませんが、それはそれで小粒で可愛らしかったするのです。アルバムから漏れたようなものばかりですから、どれもちょいと緩めの出来上がりなんですね。ガレージ色も『
Space Age Batchelor Pad Music』(1993)と『
Transient Random Noise Bursts With Announcements』(1993)の狭間でどうにも行き場のなかったものが良い方向へ転んでいるようです。
M1「
Harmonium」とM12「
Farfisa」はアルバム未収録の初期シングルですね。ご多分に漏れず、
Neu!から思い切り影響を受けたそのまんまの2曲です。1992年発売です。
特にM1「
Harmonium」の場合には簡素過ぎるコード進行に沿って正確無比に打ち下ろされるハンマー・ビートと鷹揚のない歌声という典型です。
M2「
Lo Boob Oscilator」とM13「
Tempter」は何とあの
Sub Pop Recordsからの発売なんですよね。“
Sub Pop Singles Club”でしたっけ。それにしても、こんな重要な2曲を自前のレーベルから出さないで何をやってるんだか。
M2「
Lo Boob Oscilator」なんかはこれまでの
Stereolabの中でいちばん可愛らしのではないでしょうか。
そして、M13「
Tempter」です。気が遠くなるくらいに何度も繰り返し聴いて来た1曲です。好きです、大好きです、止められません、止められないんです。
コードふたつでがなり立てるアナログ・シンセサイザー、奇妙なスキャット(?)、エフェクト処理されたドラムスが猛然と畳み掛けるといった単純な構成なのに。
至福の瞬間、もう胸がいっぱいです。
M3「
Mountain」は
Teen Beat Recordsからの
Unrestとのスプリット・シングルより。
M4「
Revox」はもともとは2枚組の7インチ・シングルのオムニバスに収録されていたものです。
人気曲のM5「
French Disko」はヴァージョン違いでして。1993年発売のシングル盤、『
Jenny Ondioline』収録版よりもこちらの方がすっきりとして簡潔ですね。
M7「
Eloge D'eros」とM10「
John Cage Bubblegum」はアメリカのギターポップの総本山、とは言い難い
Slumberland Recordsから発売されたシングル盤からです。
M7「
Eloge D'eros」のスキャットのようなコーラスのような、がとても可愛くていちばんポップな1曲ですよ。いつものようにアナログ・シンセサイザーがうねりまくりギターがザクザクとコードを刻む
Stereolab節。ギターポップの要素がイイ味出していますよ。
疾走感溢れるM10「
John Cage Bubblegum」もなかなかのものでして、アルバム未収録だからと侮れないところだらけですね。
M8「
Tone Burst (Country)」は件の『
Transient Random Noise Bursts With Announcements』の冒頭に収録された「Tone Burst」のその名の通りのカントリー・ヴァージョン。最初はピンと来なかったんですけれど思わず心が和みますよ。
以下の2曲は
Nurse With Woundとのコラボレーション盤より抜粋されたものです。
M6「
Exploding Head Movie (Stereolab And Nurse With Wound) の場合は1993年のシングル曲、「
Jenny Ondioline」の変形のような感じでしょうか。
M9「
Animal Or Vegetable - A Wonderful Wooden Reason」ですと、終盤にカット・アップなんかを捩じ込んだりして13分以上にも及ぶという聴き通すにはちょっと辛いものがあるんです。
アルバム未収録でこんなに盛り沢山とは本当に驚きです。滅多にない充実した編集盤ですよ。
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