
今回は久しぶりに
My Bloody Valentineです。リマスターされた『
Isn't Anything』(1988)と『
Loveless』(1990)という2枚のアルバムと同時に待望の編集盤も発売されました。『
EP's 1988-1991』(2012)です。
3種ともに
Kevin Shields本人の手によるリマスターということも話題でしょうか。
この2枚組の内訳ついてはこれまで
Creation Recordsから発売されたEP、4枚分と2枚のアルバムにも収録されていない7曲分というものです。誰もが思い描いていた内容ですよね。
曲順としては発売された順番で1枚目には『
You Made Me Realise』(1988)、『
Feed Me With Your Kiss』(1988)、『
Glider』(1990)が丸ごと収められています。2枚目には『
Tremolo E.P.』(1990)とその他というものです。
リマスターされた効果については判りません。1枚目のM1「
You Made Me Realise」を聴いて音質がどうのこうのというのには違和感を覚えますし、M6「
Feed Me With Your Kiss」の凄まじさは相変わらずだからです。
それでも、2枚目のM4「
Moon Song」における眩いばかりの美しさを再確認した次第ではあります。
そこで、きちんと聴くことが出来るようになった件の7曲にどうしても注目してしまいますよね。
2枚目のM5「
Instrumental No. 2」は『
Isn't Anything』の初回プレスの付録だったという7インチ・シングルの収録曲で
Public Enemyのドラム・ループを拝借したのだとか。
Kevin Shieldsの手遊びの範疇とも言えそうですね。
その片面だったM6「
Instrumental No. 1」の方はやはり、『
Isn't Anything』の録音時のアウトテイクなんだろうなといった印象です。手数の多過ぎるドラムスも痛快ですね。
さすがに初回盤を持っていなかったので20年以上に渡る溜飲を下げることが出来ました。
次のM7「
Glider (Full Length Version)」は『
Soon (The Andrew Weatherall Mix)』(1990)のB面曲なんですが、どうせならその「
Soon」のリミックスも一緒に収録してくれるともっと面白いんですけれどもね。
そんな訳で今回の再発売を以てすべての音源を網羅していることにはならないんですよ。確か「
Map Ref 41°N 93°W」という
Wireのカヴァー曲も抜けていますし。
M8「
Sugar」はフランス盤のシングル、『
Only Shallow』(1991)のB面曲なんだそうですが、ギターのリフレインが『
Loveless』収録の名曲、「
What You Want」のそれにそっくりなんですよ。ある意味でその原型だったのかも知れません。
残るM9「
Angel」とM10「
Good For You」、M11「
How Do You Do It」が未発表曲であります。残念ながらクレジットが記載されていないので詳細は不明です。
初めて聴いた訳ですが、音の感触と曲調から判断するにM9「
Angel」は『
Loveless』の際の、M10「
Good For You」とM11「
How Do You Do It」はやはり『
You Made Me Realise』から『
Isn't Anything』期の産物ではないかと。正直に申しまして、どれもこれも煮え切らない出来上がりですのでこれまで日の目を見なかったのも当然のことかと。
最後にひと言。本盤はちょっとした紙ジャケット仕様なんですがCDが剥き出しのままで収められています。2枚目の方は読み取り面がブックレットに接しています。輸入盤の場合は未だにこんなことが横行しているんですよね。もう、元には戻しませんよ。