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Jerry Berkers / Unterwegs (1972)

jerryberkers
Jerry Berkersのアルバム、『Unterwegs』(1972)です。
花畑に浮かぶ男性の顔面というジャケット写真が不気味ですね。


オランダ出身のこのJerry Berkers自身が鍵盤以外の楽器をひと通りこなすうえでのソロ・アルバムということで。
もともとはドイツのWallensteinというグループの一員だったとか。プログレッシヴ・ロックなんでしたっけ。最近、紙ジャケットCDとして再発売されていたと記憶している程度です。


そんな古巣の面々をも巻き込んだ『Unterwegs』を興味本位で聴いてみたところ。奈落の底に突き落とされるようなサイケデリック・ロックを期待してだけに肩透かしを食らったという印象です。どこかでSyd Barrettのような音を勝手に想像していたんですよ。


少しばかり甲高い歌声も好みの範疇ではありますし渦巻くオルガンの音色にも惹き付けられるものがあるんです。
冒頭のM1「Jeder Tag Sieht Ganz Anders Aus」での混沌した雰囲気から一転、いきなりM2「Glaub Mir, Susanne」が朗らかであったりM5「Grauer Bettler」やM7「Gelobtes Land」でギターの音色が鋭く吠えたりと多少なりとも起伏に富んだ内容ではあります。


最後に置かれたM8「Seltsam」にしても5分弱をかけてじっくりと聴かせる情緒的なところがみそのはずが盛り上がらないうちに終わってしまうんです。趣向を凝らしてはいるものの、その割りにはこれだという決め手に欠ける訳なんですよね。
何ともしょっぱい1枚、でした。


Tarentule / Tarentule (1977)

tarentule
Tarentuleというグループの同名アルバム、『Tarentule』(1977)です。
何をきっかけに購入したのかまったく記憶していませんが、思わぬ掘り出し物といったところでしょうか。


古色蒼然としたフォークという体裁の音を鳴らすフランス出身の4人組でして、それぞれがギターやパーカッションのほかにもヴァイオリンやらマンドリン、チェロ、リーコーダー、オカリナにダルシマーからハーディー・ガーディーまでさまざまな楽器を器用にこなしていることによって独特の味付けとなっている辺りが興味深いです。


残念なのかどうかはともかくといたしまして、上記の楽器から連想することの出来るお伽噺のような可愛らしい音世界ではなくて、裏ジャケットに掲載されたむさ苦しい男性4人の姿の通りの生真面目で正統派という印象です。


きっちりとした演奏とコーラスから相当に技巧的であることも判りますし、7分を超えながら起承転結を示すM1「Branles (Dits D'Ecosse) - Le Déserteur Du Régiment D'Auvergne - Air D'après Gaillarde D'Hassler」が冒頭に配置されたり、M5「Au Saint Nau - Noël Anglais」の前半では歌のみで進行するなどいろいろな工夫が凝らされているので飽きさせない内容です。


また、ある種の様式美というか伝統的な手法が行き過ぎてプログレッシヴ・ロックの感触さえ感じさせるところがあるんですがそれが良い方向へと転がっているのかとも考えられます。
とても完成度が高いので思わず居住まい正したくもなりますね。


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Pale Saints / Mrs. Dolphin (1991)

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Pale Saintsの『Mrs. Dolphin』(1991)です。
入手困難な初期の音源などを含む日本独自編集というありがたいCDです。


1989年発売のEP、『Barging Into The Presence Of God』からの全3曲というのは言わずもがなの名曲、M1「Sight Of You」と素人臭さ丸出しのM2「She Rides The Waves」、すでに独特な美意識を発揮させたM3「Mother Might」です。


M5 「A Deeper Sleep For Steven」と同様に大名盤、『The Comforts Of Madness』(1990)にも収録されているこのM1「Sight Of You」も別ミックスなのか、はたまた別テイクなのか違いがほとんど判りません。
ただし、件のアルバムでは曲間を繋いでいるインストゥルメンタルが省かれていますので、そういう意味では新鮮ですね。


未発表のM4「Colours And Shapes」がこれまた素晴らしい1曲ですよね。爽やかなフォーク・ロックを基調にしつつもPale Saintsらしい毒気を纏った音の作り。まさしく拾い物ですね、これは。


一方で『Half-Life』(1990)からの5曲がいまひとつといった感です。
The Comforts Of Madness』(1990)後のこのEPからMeriel Barhamという元Lushの一員が強引に加入しているんです。のちに中心人物のIan Mastersがグループから抜けてしまいますのでその均衡が崩れつつあったことは間違いのないところでしょう。


良い線を行っているM6「Half-Life, Remembered」やM7「Baby Maker」にしても小手先の工夫を見て取ることは出来ましても以前よりも神秘性に欠けていたり耽美的な魅力が不十分に思えるんです。
いかにも4ADらしい音なだけに惜しいところなんですよ。


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The Parade / Sunshine Girl The Complete Recordings (2008)

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The Paradeの編集盤CD、『Sunshine Girl The Complete Recordings』(2008)です。
A&M Records設立50周年記念として国内盤CDが何枚も再発売されたばかりですね。The Paradeの当時は未発表に終わった同名アルバムもその中の1枚なんですが、本盤の方は文字通り決定版とも言える内容ですね。


何はともあれ1967年のヒット曲のM1「Sunshine Girl」、M22「Sunshine Girl (Mono 45)」に尽きます。めくるめくコーラスと何より明るくて爽やか極まりない曲調が本当に素敵なんですよね。
その存在を知った2度目の再発売の時に購入を見送っていましたら廃盤になってしまってそれきりだった訳です。のちに『Summer Of Love Volume 1: Turn In(Good Times & Love Vibrations)』(1992)というオムニバス盤で聴くことが出来るので気が済んでしまったのかも知れません。


M5「Kinda Wasted Without You」、M21「Kinda Wasted Without You (Mono Version)」はご存知、Roger Nichols & The Small Circle Of Friendsの同名アルバムにも収録されています。
Murray MacLeodが掛け持ちしていたためではありますが、手の届きそうにない洗練さのRoger Nichols & The Small Circle Of Friendsとは異なった親しみ易さのようなものを感じます。


この辺りの感触については全体的にも言えることなんですが、M8「Hallelujha Rocket」をはじめとして割と骨太なところがあることなどに起因するのではないかと。
ちなみにM9「She's Got The Magic」が「Good VibrationsThe Beach Boysに似通っているのはご愛嬌といったところでしょうか。


M15「Montage Mirror」以下が追加収録されたデモ音源や未発表曲などに当たります。やはり、アルバムとは毛色が違ったりするので省かれたのだと想像することが出来ますが仕上がりは良好なのでお得感が強いですね。
こんなにも素晴らしい音源をこうしてまとめて楽しむことが出来るなんていうのはありがたいことです、本当に。


The Beau Brummels / Introducing The Beau Brummels (1965)

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The Beau Brummelsの最初のアルバム、『Introducing The Beau Brummels』(1965)です。


軽快なフォーク・ロックとM1「Laugh, Laugh」やM3「Just A Little」のヒット曲で有名ですよね。
いかにもThe Beatlesをはじめとするブリティッシュ・インヴェイジョンの波を被ったアメリカ西海岸の音に加えて、実に品行方正な雰囲気が濃厚です。


発売元のAutumn Recordsと言えば、Big Beat Records編集の『Dance With Me』(1994)というオムニバス盤CDをエントリしている通りなんですが、Harpers Bizarreと改名してからヒット曲を飛ばすようになったThe TikisThe Mojo Menと同様に専属で手掛けていたあのSylvester "Sly Stone" Stewartの世話になっているなんてことも面白いですよね。


背中で語るような哀愁がたっぷりと漂うM3「Just A Little」の場合、M13「Just A Little (Unissued Demo Version)」においても高品位を保っていまして興味深いところでもあります。
いずれにしても肩の力を抜いて楽しむことの出来る陽性のポップ・ミュージックであることに間違いないということで。


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プロフィール

北沢オーストラリア

Author:北沢オーストラリア
ハンドルネームをchitlinから北沢オーストラリアへと改めました。どうか、よろしくお願いいたします。
ポップ・ソングのことを中心に書こうとして自家中毒を起こしているブログです。
見当違いのことばかりですけれども、どうかご容赦のほどを。

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