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Teenage Fanclub / A Catholic Education (1990)

catholiceducation
今月のTeenage Fanclubは『A Catholic Education』(1990)です。ようやくデビュー・アルバムまで遡って参りました。感慨深いですね。
例によって旧ブログからの転載です。


今回はグラスゴー青年団の筆頭と呼べるTeenage Fanclubのファースト・アルバム、『A Catholic Education』(1990)の登場です。


このアルバムの準備ために家財道具を売り払ったという話もあるとかで、The PastelsStephen Pastelの手引きでPaperhouse Recordsとの契約に漕ぎ着けたものの、インディーの台所事情が偲ばれますね。
そのくせ、アナログ盤は見開きのダブル・ジャケットなんですよ。何が描かれているのかさっぱり見当がつかないデザインなのに。


全体的に音がこもっていて音質は芳しくないですし、同曲のヴァージョン違い(のようなもの)を収録しているために水増し感を拭えなくもないんです。


初っ端は、いきなりインストゥルメンタル曲でヴァージョン違いもあるM1「Heavy Metal」で始まるという当時のグラスゴー界隈のギターポップとしても意表を突くものです。
表題に違わず重たくて、深く沈み込むようなギターのリフレインが活かされています。


問答無用の名曲であるM2「Everything Flows」が含まれているにしても、轟音ギターに相反するポップな面を持ち合わせていながら収録曲はどれも磨けば光るだろうというくらいの出来映えでして、下手をしたら本アルバム1枚で消えて行ってもおかしくないんじゃないかと感じてしまいます。


ただ、やはりヴァージョン違いのM3「Catholic Education」で見せるユニーク(のように思える)な一面や随所に溢れ出るヘロヘロ具合には思わず頬が緩みます。憎めないもんです。


そして、何よりも痛感したのはベーシストとして参加したGerald Loveの存在です。
彼の自作曲が際立つ『Bandwagonesque』(1991)を先に聴いていたこともあるので、余計にそう感じてしまいます。
本作のすぐ後のシングル「God Knows It's True」(1991)から本格的に自作曲が持ち込まれて来たことによって、ようやくグループとしての本領発揮と言えるようになったんじゃないでしょうか。


本作の収録曲では、Gerald Love参加のM12「Everybody's Fool」以外はNorman Blake主体(前身のThe Boy Hairdressers時代のストック曲もあるでしょう)のために若干一本調子であることは否めませんし、習作の域を出ないものが多いのではないかと感じられるんです。
大横綱級の名盤『Bandwagonesque』以降、Gerald Love抜きではTeenage Fanclub自体が成り立たないことを見て取れます。


否定的なことも書いてしまいましたが、相変わらず大好きなアルバムに違いはありません。



そんな訳でTeenage Fanclubに関する一連のエントリもこれでひと段落です。
年齢的にも兄貴分のような彼らにはいつでも勇気を与えられていますが、これからもそうなんだろうなと勝手に思っています。こちらとしては感謝しかありません。


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Teenage Fanclub / Everything Flows (1990)

everythingflows
今月のTeenage fanclubは『Everything Flows』(1990)です。初々しさがいっぱいのデビュー・シングルですね。
前回の最新作、『Shadows』(2010)から1周しまして旧ブログより手抜きの転載です。


Teenage Fanclubの記念すべきデビュー曲、M1「Everything Flows」を耳にしますとやはり今でも胸が詰まるような思いになります。


手持ちのCDは元々1990年発売の7インチ・シングル『Everything Flows』に1曲を追加し、ジャケット・デザインも変更したうえでの再発盤です。
デザインを手掛けたのはJad Fairです。この時点である意味、共演を果たしていた訳です。


M1「Everything Flows」は初期の代表曲です。轟音ギターが唸るのとは無関係に音質は決して良くはないのですけれど、そんなちっぽけなことを蹴飛ばしてしまう掛け値なしの1曲です。
ある種の無常観をも湛えています。


M2「Primary Education」は彼らのデビュー・アルバム『A Catholic Education』(1990)に収録されている「Catholic Education」と「Catholic Education 2」の初期ヴァージョンと言えるものです。
The Boy Hairdressersの解散後も挫けず、Teenage Fanclubとして形になる前にNorman BlakeRaymond McGinleyのふたりがしこしことデモ作りに励んでいた頃のものでしょう。


M3「Speeeder」は冒頭に女性による“男の子の美容師たち”という台詞が入るインストゥルメンタル曲です。
これも新グループ結成へと基礎体力を養う過程の産物と言えば聞こえが良い、他愛のない楽曲だったりします。


M4「Don't Cry No Tears」は再発売にあたって追加されたNeil Youngの楽曲をカヴァーしたものです。そのよれた演奏と歌には却って熱い情熱を感じ取ってしまいます。
ほかの楽曲ではありますが、BMX BanditsもカヴァーしていることからもNeil Youngに対する人気の高さが窺えます。


かの53rd & 3rd Recordsよりシングル盤を1枚だけ発売したきりで頓挫してしまったThe Boy Hairdressersがその後、Teenage Fanclubとして長く活動を継続しているというのが何とも天晴れなことです。



やはり目頭が熱くなってしまいます、どうにかこうにかここまでやって来たんだなという勝手な思いで。こうなりますと腐れ縁ですのでね、もう。これからも気楽に気軽に付き合い続けるつもりです。


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Teenage Fanclub / Shadows (2010)

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今月のTeenage Fanclub は『Shadows』(2010)です。
5年振りのアルバムで前作、『Man-Made』(2005)と同じくPeMaという自前で起こしたレーベルから発売されたという代物です。


思わず胸がときめき、しまいには締めつけられるM1「Sometimes I Don't Need To Believe In Anything」にシングル曲のM2「Baby Lee」と快調な滑り出しですね。聴く前からそれほど期待していなかったものでから嬉しくなります。


続くM3「The Fall」が相変わらずの気怠いRaymond McGinley節なので5分以上というのは辛いものがあります。無理してまで3人分を均等に収録する必要はないと思うんですけれどもね。
M6「The Past」の方は珍しく濃淡が鮮やかな印象なので見違えるほどですし、ゆったりとしたM9「Live With The Seasons」なんてのは本作中でいちばん気に入ってしまいましたよ。これは素晴らしいです。


そんな訳で後半に入ってからさらに尻上がりに調子が良くなって来るのが判ります。
何の捻りもないはずのNorman Blake作のM8「When I Still Have Thee」には涙腺を大いに刺激されてしまいます。緩さ全開のM10「 Sweet Days Waiting」はGerald Loveの新境地、かも知れません。不思議と胸に迫って来るものがありますね。
最後の「Today Never Ends」では今ひとつ締まらない気がしないでもないんですけれども。


Teenage Fanclub の面々も立派な中年です、老成した結果なのか円熟味が出たのかアルバム全体としては良い意味で落ち着いた印象で年相応の音だなと感じました。ストリングスやらスティールギターを大幅に導入しての奥行きのある音作りに感心しましたし、充分に切なかったり滋味深かったりもしますし。
最近ではシングル盤まで追い掛けることもなくなりましたが聴き続けて来て本当に良かったなと実感しました。


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Teenage Fanclub / Man-Made (2005)

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今月のTeenage Fanclubは『Man-Made』(2005)です。
とうとうPeMa Recordsという自主レーベルからの発売なんですね。


前作の『Howdy!』(2000)から5年振りということで、この頃になりますとシングル盤については追うこともなくなりましたね。
ジャケット・デザインがThe PastelsAggiによるものだというのを知って嬉しくなりましたよ。


そんなシングル曲のM1「It's All In My Mind」から始まる本作、なかなか落ち着いた風情がよろしいですね。いろいろな楽器をそっと忍ばせていろいろな味付けを試しているようなところもありつつアルバム全体を通してまとまりがありますし、酷評してしまった『Howdy!』なんかよりもずっと好感を持つことが出来ます。


12曲をきっちりと3人で分け合っている訳ですがRaymond McGinley作のM3「Nowhere」やM6「Only With You」でさえ想像以上にポップなんですね。
その代わりと言って何ですがいつものGerald Love節が聴かれなくなった印象です。M11「Born Under A Good Sign」なんてTeenage Fanclubらしさの欠片もないと感じましたし。もうひとつのシングル曲のM9「Fallen Leaves」にしても何だか焦点を絞り切れていないように聴こえます。リード・ギターの音色がもの凄く格好良いんですけれどもね。


こうなると結果的にNorman Blakeの安定感が一段と増しているんだなと。しかもM7「Cells」については単なるギターポップの枠を飛び越えたただならぬ名曲の臭いすら漂わせていますので驚きです。いやはや、これはもの凄い収穫ですよ。ついにこういう境地に達してしまったのかという。ちょっと、今、自分の耳を疑うくらいに聴き惚れてしまっています。


相変わらず舐めてかかっていましたら思わぬところを突かれて痺れてしまいました。Teenage Fanclubの底力には改めて目を見張るものがありました。さすが、です、ね。


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Teenage Fanclub / Dumb Dumb Dumb (2001)

dumb
今月のTeenage Fanclubは『Dumb Dumb Dumb』(2001)です。
前回の『Howdy!』(2000)から切られたシングルでもあります。


表題曲のM1「Dumb Dumb Dumb」は昨日のエントリの通りなんですが現在、JonnyというグループをEuros Childsと2人で結成したNorman Blake作です。サビらしいサビはなく山場らしい山場もないにもかかわらず、その代わりに判り易いですし単純にポップなんですよね。盛り上がりそうで盛り上がらないようなちょっと珍しい1曲です。


続くRaymond McGinley作のM2「Thaw Me」、珍しく疾走感がありまして。勢いで押し切っている感を拭えないんですがいつものB面曲よりも安心して聴いていられる出来ですね。これはこれでありだと思いましたよ。


最後のM3「One Thousand Lights」は期待のGerald Love作ですね。これまた、いつもよりも豪快さが前面に押し出されているので新鮮に響いて来ますね。かつての「So Far Gone」のようでいて無闇な頼もしさを感じてしまいます。


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プロフィール

北沢オーストラリア

Author:北沢オーストラリア
ハンドルネームをchitlinから北沢オーストラリアへと改めました。どうか、よろしくお願いいたします。
ポップ・ソングのことを中心に書こうとして自家中毒を起こしているブログです。
見当違いのことばかりですけれども、どうかご容赦のほどを。

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