Teenage Fanclub / Mellow Doubt (1995)

今月のTeenage Fanclubはシングル盤の『Mellow Doubt』(1995)ですよ、と。
『Bandwagonesque』(1991)で一躍脚光を浴びたTeenage Fanclub、この辺から彼らの新たな快進撃が開始されます。
特に表題曲のM1「Mellow Doubt」、一聴してみますと作風が変わったことを感じます。『Thirteen』(1993)までのギターポップ1本やりとは訳が違うアコースティックな感触がありますね。もっとも、同作収録の「120 Mins」というちょっとした変化球もありましたけれども。
それにしても音の輪郭もはっきりとしていますし、メロディーの組み立てにしてもグッと大人の成熟さ漂わせていますよ。
彼らもいつまでも若いままではありませんし、表現の幅が広がったのは確実ですね。
これは同年発売の『Have Lost It』(1995)という全編アコースティックな編曲で固めたEPに繋がる部分でもあります。
M2「Getting Real」はどちらかと言いますと、Gerald Loveによる甘いメロディーが炸裂する従来路線なのではないでしょうか。その割には若干、平凡な出来だったりしますのでアルバム収録には至らなかったんでしょうね。
M3「Some People Try To Fuck With You」がこれまた個性的な1曲なんですよ。リコーダーを使うなどより一層、アコースティックな要素が増しつつもこれまでにはなかった辛辣な雰囲気が周囲を凍てつかせますね。
これはまさに隠れた名曲と呼ぶに相応しいんです。
最後のM4「About You (Acoustic Version)」も決して侮れません。
M1「Mellow Doubt」とともに傑作アルバム、『Grand Prix』(1995)にも収録されているんですがこちらはまったくの別ヴァージョン。
わざわざ別録りしただけあって聴き比べも楽しい仕上がりでして、どちらかと言いますと手作り感覚溢れるこのM4「About You (Acoustic Version)」が好みです。
グループ内部の環境の変化も音に大きく作用しているのかも知れません。
まるでマスコットのような存在だったBrendan O'Hareに代わって、The Soup DragonsのドラマーだったPaul Quinnによる手堅い演奏が良い方向に転がっていますね。
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