The New Tweedy Brothers / The New Tweedy Brothers (1968)

内容よりもその変形ジャケットのお陰で話題に上るThe New Tweedy Brothersの同名アルバム『The New Tweedy Brothers』(1968)を初めて聴いてみました。
P-Vine Recordsの英断により本格的な紙ジャケットCD化と相成ったのです。
言われているほどには悪くないというのが第一印象です。
その分ずば抜けているところもなかなか見つからないのですけれども。
冒頭のM1「Somebody's Peepin」からさっそくラーガ風味を漂わせていたり、M2「I Can See It」やM3「I'd Go Anywhere」では目が血走ったガレージ・バンド張りの激しさを魅せるものの基本は脱線したフォーク・ロックといった具合です。
また、いきなり泥臭さを発揮するM4「Danny's Song」がたなびく一方、M5「Wheels Of Fortune」では歌心を感じさせつつ天然サイケデリアの雫が聴き手を優しく包み込んでくれそうな雰囲気を醸し出していますよ。
M8「Someone Just Passed By」やM10「Lazy Livin'」のように健やかなようでいて、別テイクも収録されているM9「Her Darkness In December (Drone Song)」のようにやはりどこか捻れた感覚が否応なしに滲み出るのは彼ら、The New Tweedy Brothers自身の資質なのか時代柄どこにでも転がっているようなグループのひとつだったからなのかは置いておきまして。
普段から稚拙な演奏や中途半端さには免疫があることも手伝いまして、意外と聴き応えのある内容だなというのが正直なところです。
欲を言えばThe Lovin' Spoonfullなどにも通じる朗らかなグッドタイム・ミュージックとも呼べるらしいシングル曲も聴いてみたいものです。
このことから不器用ながらも引き出しが多いことは確かなようです。浅かったり寸法が合っていなかったりするのですけれど。
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