My Bloody Valentine / You Made Me Realise (1988)

今回ご紹介するのは今夏、やおら再始動を計るMy Bloody Valentineの『You Made Me Realise』(1988)です。実際には無題なのですけれども。
Creation Records移籍第1弾にして5曲入りの12インチ盤でもあり、ほんの数年前にべらぼうに高価な中古盤を思い切って購入した憶えがあります。
Lazy Records時代におきまして、既にメロディー志向を極めてしまった彼らが向かったその先のある種実験的な『Isn't Anything』(1988)に至るまでの大いなる半歩といったところでしょうか。
M1「You Made Me Realise」こそMy Bloody Valentineの代名詞と呼ぶに相応しい1曲なのです。
大鉈を振るうように豪快に切り刻まれて行く轟音ギターのモンスター・リフが衝撃的な傑作です。
Bilinda ButcherとKevin Shieldsのふたりのハーモニー・ヴォーカルも脱力しながら交差し、重なり、溶け合い・・・。
ライヴではいちばん最後に演奏され、それを唯一の来日公演でも体験することが出来ました。
ブレイク部分で延々と放出されるとてつもない轟音によって全身の毛穴をこじ開けられました。
もはやダイヴを敢行する者すらおりませんでした。
その際、茫然自失の観客に向けてステージ奥から強く照らし出した光にステージ上は包まれ、我々はそこに神を見た、ような気がいたしました。
持って行かれました。
放り出されました。
ぶっとばされました。
退廃的な雰囲気に溢れるM2「Slow」について、聴き手を蹂躙するかのようなゆったりとした曲調がその危うさを増長させています。
苦み走ったギターの音色と甘酸っぱいメロディーとが掛け合わさってポップに転んだM3「Thorn」と同様にM5「Drive It All Over」にしても甘いメロディーがギターの濁り切った音質と相俟って荒涼としつつ、どこを切ってもポップであり続けるところは『Ecstasy And Wine』(1989)を確実に超えてしまっています。
最後のM4「Cigarette In Your Bed」はと言いますと、何となく異国情緒がある一方でどこか『Isn't Anything』にも通じる怪しい作風が特徴です。
音の感触に統一感はあるものの、それぞれの収録曲は意外なほど多様性に富んだ曲調でして、しかもどれもが官能的であり歓喜のうめき声に聞こえて来るのですから、もう参ってしまいます。
これがなければ話を始められません!
♪「You Made Me Realise」My Bloody Valentine
当然、これもまた必要なのです!
♪「You Made Me Realise桂三枝MIX」My Bloody Valentine
♪「You Made Me Realise」My Bloody Valentine
当然、これもまた必要なのです!
♪「You Made Me Realise桂三枝MIX」My Bloody Valentine
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