Daniel Johnston / Fun (1994)

いよいよ来日公演が1週間後に迫って来ましたDaniel Johnstonのアルバム、『Fun』(1994)ですよ。勿論、数ある傑作の中の1枚です。
ええ、相変わらずチケットを確保することが出来ていませんです、はい。
何と驚愕のAtlantic Recordsからの発売です。何かの間違いではないかと思われておかしくないんですが、案の定、メジャー盤は本作のみの模様です。
さらにはPaul Leary制作。そうです、あの変態ジャンク・バンドのButthole Surfersのギタリストですよ。いったいどういう経緯なのか、まったく奇跡の組み合わせ。本当にどういう結果になるのか予想だにしない1枚という訳ですよ。
その内容につきまして、M1「Love Wheel」から絶好調。およそDaniel Johnstonの駄作などにはお目にかかったことがありませんし、さすがに予算がかけられていますので音の方も必要以上にしっかりと整理整頓されています。
収録曲はどれも小粒ながらくっきりとしたメロディーが印象的ですよ。そして、意外と曲調もあれこれありましてアルバムとしての流れも工夫されていますしね。
そうです、ロック・ミュージックの1枚のアルバムとしてきっちりと仕上げられているんです。
とりわけM10「Psycho Nightmare」のようなぶっ飛んだロックン・ロールもすこぶる痛快ですし、M15「Delusion + Confusion」でのシンセサイザーの弾き語りなんかは妙に心に引っ掛かりますね。
Daniel Johnstonの才能を嫌が応にも感じさせてくれます。
いつもの通りと言えばいつも通りの質の高さなんですけれど、改めて聴いてみますと多少の違和感が残るのかも知れません。隙がないと言いましょうか、出来上がり過ぎている気がしないでもないんです。
最後のM18「Rock 'n' Roll / EGA」を聴いてみてください。いかにロックン・ロールに救われたか、いかにロックン・ロールというものが手を差し伸べてくれたかをこれでもかと綴られている訳です。しがない日常にパッと灯りがともるような、そんな歌です。歌詞にはDaniel Johnstonらしさが全開です。
ただし、この手のDaniel Johnstonらしい1曲がハード・エッジに仕上げられていまして、聴き手がどんな風に感じたのか。
1990年代前半のあの喧噪に流されて担がれてしまったのかなど、いろいろと思うところがありますよね。
ロックン・ロール!
♪「Rock 'n' Roll / EGA」Daniel Johnston
♪「Rock 'n' Roll / EGA」Daniel Johnston
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