
今月の
BMX Banditsは『
Park Theme』(1996)というアルバムですよ。
ギタリストとして
Lawrence Kimと
Gabriel Telermanが加入しまして、またまた新しい布陣での1枚と思いきや、しっかりと
Finlay MacDonaldと
John Hogartyの名前もクレジットされているので実際にはゲスト扱いではなく大幅に関わっている気がしますね。
Norman Blakeと
Joe McAlindenも参加しているほか、
Gordon KeenはM2「
Girl Nextdoor」を共作していますね。
勿論、
Douglas T. Stewart、
Francis MacDonaldに
Sushil K. Dadeは健在ですし、特に
Francis MacDonaldの作曲面での活躍が目覚ましいですね。共作、単独作を問わずに大半の収録曲に携わっています。
それから、これは驚くべきことに伝説の仕掛人、
Kim Fowleyが制作を担っているばかりか収録曲の共作まで行っているんですよ。ライヴでの共演(ライヴ盤あり)がきっかけなのでしょう、
Douglas T. Stewartや
Francis MacDonaldたちにとって物凄く貴重な体験になったはずですよね。
M10「
Motorboat」はどこぞのガレージ・バンドのカヴァーなのででしょうか。
かと言って、本作が
BMX Banditsの音楽として奏功しているかどうかは甚だ怪しいところだったりするんですよ。
やたらと威勢の良いシングル曲のM1「
We're Gonna Shake You Down」。グループ結成当時の1985年に立ち返って初心を取り戻そうとしていたりとパーティー・バンドのアルバムの幕開けに相応しいですね。
Kim Fowleyも作曲に関わっている(のに)正当派ギターポップのM2「
Girl Nextdoor」に続くM3「
Nuclear Summertime」は
Kim Fowleyと
Francis MacDonaldとの共作曲です。まるで1960年代のガレージ・パンクですね。
これまたギターポップのM6「
I Wanna Fall In Love」では
Kleという女性ヴォーカルを迎えています。そして、M12「
Before The Blue Moon」では
Douglas T. Stewartとのデュエットが披露されていますね。
M7「
One Big Heart」は『
That Summer Feeling』(1995)にも収録された
Francis MacDonaldによる単独作です。もしかしたらこういう路線には特別な新しさはないかも知れませんが、『
Gettin' Dirty』(1995)後の
BMX Banditsとしてはあるべき姿のような気がしますね。
またまた
Kim Fowleyと
Francis MacDonaldとの共作曲でもあるM11「
Love Makes The World Go Round」やM16「
In The Afterglow」も含めてギターポップ中心かというとそうでもなく、アルバム全体が
Kim Fowley色に染まった歪なガレージ・パンクで押し込むだけでもなく、実に色とりどりの様相を展開し過ぎていまして、まったくまとまりがないんです。
『
Theme Park』という割にはそれほど奥深さもないんです、中途半端なんですよね。
ベーシストの
Sushil K. DadeによるM9「
Milky Way」やM14「
Sparkle Finish」は少々、実験的な楽曲のようですが平たく言いますと退屈な方です。
いろいろと趣向を凝らしているはずが、そういった方向性の違いが締まりのなさとなって後味の悪さだけが残るんですよね。